第5章・唯我毒尊編

〜決勝トーナメント&特別試合〜






伊智:「決勝トーナメントの模様をお伝えするその前に、オーナーが
VTRを作ってきたようですので、そちらをご覧頂きましょう。」













オーナーのナレーション:
「ベストバウトプレイヤーが発表され、これから決勝トーナメントが始まろうとしていた
ある日、僕宛てにこんな件名のメールが届いた。

『こんばんわー、決勝を控えた桃見美香です。つかのまの休息よりメールさし上げてます。』

今大会でベストバウトプレイヤーを獲得し、見事決勝トーナメント進出の切符を掴んだ
桃見美香選手からである。“S”所属の選手と言えば、前大会のエックソシストでも
秋沢美緒選手からメールを頂いており、その時はプレゼントと見せかけての串刺しDDTで
まんまと僕は葬り去られている。そんな苦い思い出も頭に浮かべながら、僕はメールの
本文を読んでみた。」



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ハロー、キショクてブシャイクな皆さーん、桃見美香で−す。イェーイ!
 
今回は全敗ながら、準決勝進出という事で『カマキリ女』・・・
――じゃなかった、紀所伊代さんとも戦えるということで!
準決勝がんばっちゃいまーす!

さてさて、話は変わるんですけどー。
今回決勝進出したって事で『Darkness』に“?”がついている“美緒さん”(笑)
が、私の応援に来てくれるみたいですー。
まぁ、私は『自由奔放』がモットーなんで、別に来て貰わなくっても良いんですけどね。

また、イチヒロさんに会いたいんじゃないですかねー?
という事でよろしくお願いいたしまーす!

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オーナーのナレーション:
「どうやら今回も秋沢選手が絡んでいるらしい・・・。もう技を喰らうのはごめんだが、
それの原因となったのも自らの発言の誤り。えっ、もしかしたら、今回もまた自分は何か
誤った事を言ってしまったのか・・・!いや、それはあってほしくない。もう、こんな何回も、
他団体さんに迷惑をかけることなんて・・・。不安でその夜は眠れやしなかった・・・。」











伊智:「おやおや!?またオーナーは何かミスでもやらかしたのでしょうか。
それは絶対あってはならない。続いて桃見選手の控え室の模様です。」












<桃見の控え室>




秋沢:
「ハロー、美香元気してる?美緒だよ〜。
相変わらず、パロXさんところは盛り上がっているわね〜。」

美香:
「あっ、美緒さん。」

秋沢:
「大会前には『1人でもOKなんだぞ!という事を見せれれば・・・』とか
言ってたけど、見事予選突破ね。おめでとう!」

美香:
「そうは言っても、全敗ですからねー。
内容と実力を伴って予選を上がりたかったっていうのが本音ですよー。」

秋沢:
「殊勝な言葉ね。でも、ブルー・ノイズで出場した時も予選勝ち上がっているし
十分1人でやっているわよね。
まぁ、大会前のコメントでひかりと宇働さんの名前を出しておいて
私が入ってなかったのは気にくわないけど。」

美香:
「あ、あれはハッスルマニアの終了直後でしたし、前回のパロXさんの興行で
秋沢さんアレでしたし・・・。――もう、むしかえすのはやめましょうよー。」

秋沢:
「いいえ、私は結構そういう処、細かいの。
出場回数とか、ニックネームの間違いとか・・・」

美香:
「――も、もしかして、美緒さん変な事企んでません??」













伊智:「これから始まります決勝トーナメント・準決勝Aブロック
“桃見美香vs紀所伊代”の一戦。桃見が入場すると、マイクを取った。」













美香:
「・・・(棒読みで)『イチヒロオーナー。
美緒さんより先日のディレクターズカップでのDDTのお詫びという事で
プレゼントを預かって来ました。ご足労なのですが来て頂いて良いでしょうか?』」













伊智:「オーナーを招き入れます。やはり今回もプレゼントを用意しているとのこと。
前回の串刺しDDTに続き、再び痛いプレゼントが待ち受けているのでしょうか。」












美香「・・・それでですね。」













伊智:「今回のプレゼントとは一体なんなのでしょう。
何やらそわそわした様子ですが・・・?」


















秋沢「これがプレゼントなの。」













伊智:「いつのまにか秋沢がオーナーのバックについた!!
今回は抱っこプレ・・・じゃなく、ジャ−マンスープレックスの体勢だ!」













伊智:「おっとここはなんとかオーナーがバックプレスで凌ぎました!
同じ手は喰いませんでしたが、しかし今回もまたオーナーが何かしらの
失態をやらかしていたのではないかと考えれば、安心してもいられません。」













秋沢:
「やっぱり、ジュニア戦士だけあってやるわね・・・。
まぁ、それはいいとして・・・、今回は“&”の追記をお願いに来たの。
美香のニックネームは『Cloud & Sky』・・・白雲と青空よ。宜しくね。」

美香:
「・・・この人、ワザワザ私のニックネームの為に。。。
――絶対、イチヒロさんにちょっかい出すためにやっているよ。。。」











伊智:「あーー!!今回もやっぱり原因は選手紹介の誤字・脱字でしたー!
マスクを剥ぎ取られた覆面レスラーの様に、オーナーが手で顔を覆い隠し、
うずくまってしまいました。もうお客様に顔向けできません!こんな状態で、
試合開始のゴングが打ち鳴らされました!」












オーナーの心の声:
「大学ノートにメモった時までちゃんと“&”付けてたのにぃ・・・。なんなんだよ自分!」

アングル提供:sardine氏



※秋沢選手が指摘している誤字部分は訂正させて頂きました。
秋沢選手&桃見選手&sardineオーナー及びページを見て下さった全ての方々に深くお詫び申し上げます。
















−準決勝Aブロック−
桃見 美香 VS 紀所 伊代


開始のゴングが鳴った直後、桃見が紀所をロープへ振り一回転ドロップキック、これは冷静に見ていた紀所がかわすとその後、今度は紀所が桃見をロープへ振ってリープフロッグを挟み、同じく一回転ドロップキック。これも桃見がかわし不発となりますが、ルチャをベースとする両者ならではのスピーディーな攻防に、序盤から会場を沸かせます。この後はサイクロンホイップ、フロントスープレックスホイップ、串刺しジャンピングエルボーなど着実に技を繋いでいく桃見が先手を取った状態に。

対する紀所も中盤でココナッツクラッシュ、低空ドロップキックを各所で決めリードを五分に持ち込ませると、8分コーナーへ登りサマーソルトドロップ投下。9分にはココナッツクラッシュから一挙大技を狙いバック取り、しかしこれはレッグスピンで切り返す桃見、すると今度は桃見自らバックを取り、何に行くかと思いきや、なんとここで必殺・モモミ☆ラナを敢行。これまではじっくりとした試合運びを見せていた両者の闘いが、この技で一挙大技ラッシュへの攻防へと切り替わります。

相手に必殺技を決められれば今度は自らの得意技・ノーザンライトボムですぐに反撃の体勢へ移る紀所。ここから先程失敗したバック取りを再度狙いますが、カンガルーキックで再び凌いだ桃見、再び自らバックを取った状態に持ち込んで、ここから2度目のモモミ☆ラナへ。このフォールは紀所がカウント2.9で必死に間に合わせたものの、必殺技を2度に渡り決められるという厳しい状況。現状を打破しようとこの後紀所が人工衛生ヘッドシザース、踵落としを決め桃見を場外に落とすとリング内で待機し、呼吸回復に専念します。

場内に戻った後、桃見が組みに行ったところは紀所がさばいて阻止、至近距離での一回転ドロップキックは桃見にかわされたものの、ダウンを奪うとその場飛びのムーンサルトでフォールに向かい、桃見がカウント2.9。先程まではペースを握っていた桃見も、12分台に入るとスタミナが切れてきたか、この後有効打を見せられず紀所のペースに。この後ボディスラムで投げつけた紀所が、既に勝利を確信しているかのようにダウンしている桃見の目の前で立って、普段は試合終了後に行っているマグナムダンスを披露。

踊り終えた後も桃見が立ち上がってこないのを確認すると、そこから2度目のムーンサルトフォールへ。これも2.9で桃見が間に合わせたものの、攻め手を休めることのない紀所がこの後2度目のノーザンライトボムを決めていきコーナーに駆け登ってのムーンサルトプレスで繋いで再度カバーへ。試合前の動きが何かしらの動揺となっていたのか否かは知る術がありませんが、思った以上にこれまでのダメージが大きかった桃見、このフォールで肩を上げられず3カウント決着のゴング。リーグ予選では最高ポイントを獲得し、武者逝の底力を見せつけている紀所がこの試合も勝利を納め、決勝戦に進出です。

×桃見 美香  対  紀所 伊代○
(12分55秒、ムーンサルトプレス)




−準決勝Bブロック−
ジェニー・エース VS 吉澤 ひろみ


互角な序盤戦、中盤戦が繰り広げられる中、この試合モンゴリアンチョップを3発、4発と有効に打ち込んでいく吉澤が5分、ゴリラスラムからコーナーに登りダイビングギロチンドロップ。これは登る際に時間がかかっていたためジェニーがかわし、DDT。そしてロープへ振りますが、振り返した吉澤がここからカウンターのフック命中。観客にガンつけのアピールを見せて、バッカンブローと正面飛びドロップキックを立て続けにヒット。

一歩優位に立った吉澤がジェニーをコーナーに寄せ追加攻撃を狙いますが、これはフロントヘッドロックでジェニーが押さえ込み、逆に吉澤をコーナーに振って串刺しラリアット。その後にDDTを2連続で決めて、サソリ固めへ。堅実に五分へ持ち込もうとするジェニー、この後もフライングメイヤーから再度サソリ固めで絞め上げます。そしてもう一度フライングメイヤーで投げつけるとジェニーがそろそろ大技へ移ろうかという動きを見せますが、ここで吉澤が必殺・ガッツ式オーケー牧場!を炸裂。

この一撃で再び自らのペースに誘う吉澤、ジェニーの背後でガンつけのアピールを見せればフックを2連発で打ち込み、更なるダメージを与えます。このピンチから逃れるべくジェニーが吉澤を場外へ投げ捨て自らも場外へ。吉澤が鉄柵へジェニーを投げつければ、すぐさまジェニーも同じく鉄柵へ吉澤を投げつけて、先に場内に戻ります。しかし場内に戻れば再び吉澤がガッツ式オーケー牧場!を決めていき、コーナーに登ってのダイビングネックブリーカードロップも敢行。フィニッシュへ間近に迫ろうとします。

更に伝説の右ラッシュで吉澤がペースを突き放し、フック、ダイビングギロチンドロップ。もう恐らく余力は残ってないだろうと思われるジェニーでしたが、この後先に起き上がるとスリーパーで吉澤を絞め上げていき、ロープに振ればメキシカンエースクラッシャーを敢行。土壇場で反撃に転じたジェニーが、ここでカバーへ。2で返されれば、すぐさまギロチン式のエースクラッシャーに持ち込んで、コーナーに登ってのミサイルキック。このラッシュにより吉澤も大きなダメージを負い、試合の行方は分からなくなります。

簡単に勝利を奪われてたまるかと、この後吉澤もバッカンブローで体勢を直し、ダイビングエルボードロップ。対しジェニーもラリアットアタック、メキシカンエースクラッシャーと繋いでいき、やられた分を返しますが、吉澤にコーナーポストへぶつけられダウン。その間呼吸回復した吉澤がゴリラスラムから、観客にガンをつけておいてのフィストドロップ。更にエルボーを落としていきカバーへ。ジェニーのスタミナも底を突いており、ここで3カウントが決まるだろうと思われましたが、レフェリーがカウントに入るのに一歩遅れたため、ジェニーが幸いにも2.99で返すのに間に合います。

惜しくもピンフォール勝利ならなかった吉澤ですが、これに動揺することなく伝説の右ラッシュで再びフィニッシュへの足取りを整えて、正面からのフックを命中。しかし先程の運を味方につけようと、ジェニーもここからフライングメイヤーで投げつけて、吉澤に対抗するように正面で中指立てを見せてのラリアットアタック。そしてバックにつくと、ここで必殺コブラクラッチスープレックスを炸裂。試合時間は14分を過ぎ、いつ決められてもおかしくない状況の中で劣勢のジェニーが猛反撃を開始します。

ボディスラムで投げつければ、今度は両手振り上げ招きからのラリアットアタック。更にネックブリーカーからもう一度振り上げ招きで観客に声援を求めると、ロープへ走り込んでの浴びせ倒しラリアット。大技への布石としてこれまで何度とこだわって使っていたフライングメイヤーをこの後も決めていくジェニー、バックを取ってフィニッシュへ。しかし、これはエルボーで防いだ吉澤、反撃を終止させるフックを命中。コーナーに登ってのダイビングギロチンドロップで追撃し、スタンディングに戻れば地獄突き、が、この直後ジェニーが再度フライングメイヤーに持ち込ませて、起き上がらせてのラリアットアタック。

これが最後の勝機と見たか、ここでジェニーがコーナーへ。そして切り札技のムーンサルトプレスを解禁し、最後に臨むカバー。コブラクラッチスープレックスを喰らったあたりから攻め手を奪われていた吉澤、ラリアットを軸としたこの大技ラッシュに余力を使い果たし、カバーを返せず3カウントのゴング。最後の最後まで接戦だったこの試合は、運に助けられて運を利用し、チャンスを最後まで放さなかったジェニーに軍配が上がりました。これにより華王第5章決勝戦は、パロX所属選手同士の対決となります。
○ジェニー・エース  対  吉澤 ひろみ×
(16分35秒、ムーンサルトプレス)












<宇座子&柳の控え室>




宇座子:
「最初アンタと組むって聞いた時はいまいちピンとこなかったんだけど、
ジャガとミーシャのワラ人形まで作ってるんだもん、そうとう気合い入ってるみたいね。
アイツらをギャフンと言わしてやってよ。期待してるからさ。」

柳:
「南無阿弥陀仏・・・南無阿弥陀仏・・・。」

宇座子:
「(ポンと柳の肩を叩き)ねっ、今日の試合で勝てばアンタの株は急上昇よ。」

柳:
「触るなっ、クワァーッ・・・!忍法放射怪人検算!」

宇座子:
「ちょっとアンタ大丈夫?誰かにとり憑かれてるみたいじゃなーい。」

柳:
「・・・・・・・・・・・・・・・・・、見えた!」

宇座子:
「えっ、何が見えたのー?ワタシ達が勝利する姿でもー?」

柳:
「・・・・・・・・・・こんなんでましたけどぉー。フハハッ!何年前のギャグだそれ・・・。」

宇座子:
「確かに昔それ流行ってたけどギャグではないと思うんだけど・・・。」

柳:
「宇座子さん、試合前は肩の力抜いてリラックスしましょうよ。」

宇座子:
「アンタのせいで肩の力入っちゃったんじゃないの!!」











−特別試合−
Y・B・ジャガスキー&ミーシャ・フォーリー VS 凄井 宇座子&柳 ユウ


予選リーグ開幕前からジャガスキーを味方につけて宇座子潰しを目論んでいたミーシャが、当初予定していたハンディ戦ではなく純粋なタッグマッチとして対決を実現。先発は長きに渡って抗争を繰り広げているジャガスキーと宇座子、まずは形振り構わずエルボーや地獄突きなどの打撃技で押していくジャガスキーが、早々に宇座子を交代させます。

すると交代を受けた柳、すぐさま宇座子とのW.ブレーンバスターを決めていき、意外にも息の揃ったプレーを見せます。不覚を取ったジャガスキーもミーシャに交代すれば、同じくW.ブレーンバスターでお返し。ミーシャvs柳という局面に入ると、まずは柳がハンマースローからのスライディングでカニ挟みのフェイントムーヴを見せると、ミーシャも同じくハンマースローに振ってカウンターナックルパート。DDTに繋ぎ、柳を宇座子へ交代させます。

ここで初めてミーシャと宇座子の顔合わせ。まずはワンハンドバックブリーカー、ショルダーアームブリーカー、拷問キャメルクラッチと繋いだ宇座子が先制。対するミーシャは宇座子をコーナーへ寄せてのギロチンホイップでリズムを狂わせていき、対角線コーナーへのハンマースローも振り返して、再度ギロチンホイップ。その後にもう一度コーナーへ寄せれば、なんと3連続でのギロチンホイップ。そのままSTFに捕らえ、主導権を握ろうとします。

精神的なダメージも喰らったであろう宇座子ですが、ここから剃刀ブレーンバスターで奮起し、立ち上がらせてのフック掌底。交代を受けたジャガスキーにも脳天エルボーを見舞い、ミーシャとのツープラトン攻撃もキックで凌ぎます。この後も返しブレーンバスター、ワンハンドバックブリーカーなど攻勢の宇座子、ジャガスキーの後頭部へフック掌底を打ち込んでいき、ボディスラムで場外へ。二人が場外戦でやり合えば当然ミーシャもこれに加わり、柳も応援に入ります。混戦の中、宇座子がジャガスキーに場外マットでのゴッチ式パイルドライバー敢行。その間ミーシャは柳にフェイスクラッシャー。

4者がリング内へ戻ると、ロープに振られてるジャガスキーに目もくれず宇座子が、エプロンのミーシャへ向かって尻叩きアピール。挑発していきますが、これに怒ったジャガスキー、宇座子を担ぎ上げて叩きつけリストアップスラム。宇座子がショルダーアームブリーカーからバックを取ったところもエルボーで返し、中指を立てておいてのアメリカンフック命中。ここで宇座子にも火がついてきたか、ジャガスキーをコーナーへ串刺しにし、対角線ハンマースローを振り返してのタランチュラ敢行。

この後4者が入り乱れると、ジャガスキーとミーシャがW.ブレーンバスターで宇座子を捕獲。更にジャガスキーが垂直落下式バックドロップも決めていき、宇座子が柳へ交代。その後再び混戦となるリング内、ミーシャとジャガスキーは試合権利のある柳に相手することなく、宇座子を再びW.ブレーンバスターで投げつけて集中砲火。更にミーシャがスクールボーイでカウントを自ら取ろうとするなど、試合を度外視する勢いで宇座子を徹底的に痛めつけます。これに柳が向かっていこうとするも、バック取りをミトクラッチで返されカバーに持ち込まれます。その後ソバット、トラースキックと蹴りを繋いで反撃に転じる柳ですがヘッドロックパンチで倒され、大技に持ち込めず。

しかし、その後はバックドロップで投げつけていき柳が再び反撃のチャンス。ロープへ振ればスライディングを挟んでのカニ挟みを成功。途中パイルドライバー、フィストドロップを浴びせられ攻めはストップしたかに見えたものの、グラウンドコブラでカバーへ。更にカニ挟みを決めていき、コーナーポストへぶつけさせておいて再度ロープに振ってのカニ挟み。その後は宇座子もリングへ加わり、チキンウイングアームロックで絞め上げます。これにミーシャはテキサスジャブで柳を殴り倒していき、STFへ。宇座子とジャガスキーもリング内へ入ると、ジャガスキーが柳にシュミット式バックブリーカー、その間ミーシャは宇座子を持ち上げジャンピングボムを敢行、主導権を握り返しに行きます。

柳がミーシャを逆さ押さえ込みに捕らえたところもジャガスキーがカットに入って肩車フェイスバスター。そのままミーシャが逆エビに捕らえます。これがロープブレイクとなれば、今度はパイルドライバーから両手押さえでフォールの体勢。これもロープ付近だったためカウントは取れませんでしたが、起き上がればネックブリーカーに倒し片手上げアピール。大技を狙いバック取りへ、しかしこれは回り込んで防いだ柳、逆さ押さえ込みで逆襲のフォールへ、これもロープに振れたためカウントはなりません。

ここで混戦に入ると、ジャガスキーが宇座子をロープへ振り、その間ミーシャとともに柳を捕らえてツープラトンへ。これは柳が蹴りで防ぎ、宇座子がジャガスキーをチキンウイングアームロック。そして柳がミーシャのバックにつきますが、ミーシャが取り返してリバースパワーボム。フィストドロップで追い打ちしスタンディングに戻ると、今度は柳がソバットで応戦。バックドロップ、ランニングドロップキックと繋ぎミーシャをジャガスキーに交代させます。するとジャガスキーがシュミット式バックブリーカーを決めていき両手ガッツポーズ。そこから必殺シャウエッセン・イキデキヘンに持ち込み、柳をギブアップに追い込ませます。

気力で耐え凌いだ柳ですが、フィニッシュの準備が整ったジャガスキー、この後エルボースマッシュを打ちつけてのサンダーファイヤーパワーボムでフォール。自軍コーナー付近そしてロープブレイクギリギリという好位置で決まりましたが、宇座子のカットが間に合います。すると救助を受けた柳がジャガスキーのバックについてジャーマンスープレックス敢行。ロープブレイクとなれば今度は逆位置でのグラウンドコブラツイストでフォールを狙い、惜しくもカウント2.9、大金星を狙うまいとします。ここで柳が宇座子に勝負を委ねますが、ジャガスキーの旋回式垂直落下ブレーンバスターで宇座子が場外に投げつけられてしまい、一時のチャンスがピンチに戻されます。

場外戦ではジャガスキーが肩車フェイスバスター、シュミット式バックブリーカーと繋げ、グロッキーの宇座子の目の前で中指立てポーズ。ミーシャも加勢に入ろうと場外へ降りますが、ここで宇座子がジャガスキーに剃刀ブレーンバスター。更にやって来たミーシャに対しても剃刀ブレーンバスターで迎撃し、場内戦に戻ればジャガスキーをゴッチ式パイルドライバーで叩きつけて、腰クネアピール。いよいよ本領を見せ始めた宇座子、ここからCWアームロックへ。しかしロープに逃れたジャガスキーが立ち上がると同じくゴッチ式パイルドライバーを宇座子に決めていき、シャウエッセン・イキデキヘンでギブアップの危機に持ち込ませます。これはなんとか柳のカットが間に合って、リングは混戦に。

ミーシャが宇座子へテキサスジャブを打ち込み、柳に対しジャガスキーとのツープラトンを狙うと、柳はキックで阻止。混戦が終わりますが、先程のミーシャのパンチでまだ立てない状態が続いている宇座子。勝機と見たジャガスキー、シュミット式バックブリーカーからこの試合3度目のシャウエッセン・イキデキヘンへ。柳がカットに行こうとしましたが、完全KO状態となっていた宇座子にこれ以上の試合続行は不可という裁定が下ったため、レフェリーが試合をストップ。ジャガスキー・ミーシャ組が望み通りの勝利を果たしました。

○ジャガスキー  ミーシャ  対  ×宇座子  柳
(23分00秒、シャウエッセン・イキデキヘン)



−決勝戦−
紀所 伊代 VS ジェニー・エース


準決勝から時間を空けずに行われたこの決勝戦、スタミナ的な余裕はないため序盤からスタートダッシュを切りに行く紀所、4分踵落としをヒットさせると5分にはバックからの大技マヤ式スープレックスを敢行。更にトライアングルスコーピオンでダメージを持続させ、確実にジェニーを追い込んでいくと、DDTを喰らいつつコーナーへジェニーを寄せて、今大会2度目の殺鬼身取りを炸裂。そのまま高角度前方回転エビ固めでカバーに行き、早くもカウント2.9まで追い詰めます。現在の試合時間は6分、この後も紀所の猛攻はとどまることを知らず、攻め疲れることなくノーザンライトボムを敢行。

その後バックを取られるもレッグスピンで切り返し、ジャンピングブレーンバスター。これには当然焦りを見せ始めたジェニー、準決勝戦での疲労は見え隠れするもここまで掴んできたチャンスは逃してたまるかと、DDT、ラリアットと繋いでロープに振りメキシカンエースクラッシャー、が、これを下からスルリとくぐって回避した紀所、そのままノーザンライトボムの体勢に入り、惜し気もなく決めていくとバックを取り2度目のマヤ式スープレックスへ。ジャーマンのブリッジ、回転エビのクラッチともに完璧な形で決めた紀所が、これで早くも3カウントを入れさせて完勝。武者逝本隊の意地を最後まで見せつけた紀所、激戦を闘い抜いて見えたものは、優勝という名の栄誉でした。

○紀所 伊代  対  ジェニー・エース×
(8分14秒、マヤ式スープレックス)

紀所 伊代が「華王〜愛の激情〜第5章・唯我毒尊編」を制覇。










伊智:「リング上では武者逝本隊のメンバーが出揃い、優勝の喜びに
浸っています。そんな中ー、パロXメインテーマ曲『紙上の星』に乗って
オーナーが入場してまいりましたー。武者逝の頑張りに祝福で応えるのか、
あるいはまた何か気にいらないことが武者逝にあるというのか。」












オーナー:
「優勝おめでとう!紀所。お前のファイトはずっと見届けてたぞ。
今日はこれまでの嫌なことは忘れて、皆で思いっきり楽しんでくれ。」











伊智:「おっとオーナーの口から発せられたのは武者逝に対する
皮肉ではなく、紀所の優勝を褒め称えるコメントです!

オーナーのコメントをそのまま信じてはいけないということは、
スタッフの我々自身もよく学習しています。しかし今回だけは、
そのまま信じたい。そんな気がいたします。」












紀所:
「ようやくわかってくれた〜?アタシらの本当の強さを。
さあ、やることは果たしたから、オーナーゆっくり休んでていいわよ。
武者逝のことはアタシらに任せてね。最強熟女伝説を復活させるから。」

宇座子:
「ジャガスキーとミーシャには借りがあるけど、もうワタシに迷いは消えたわ。
今ワタシには支えてくれる人がいる。それはもちろん武者逝の皆でもあるし、
新しい愛を与えてくれた人でもあるの。もう、ワタシのことは心配しなくていいわ。」

肝子:
「なんだかワタシだけ目立てなかった気がするけどさぁー(笑)、こうやってウチらが
また新しい目標に向かって進めるわけだから、清々しい気分でいっぱいなのよねぇー。
さあ、今夜は久しぶり3人揃ってパーッと、騒いじゃおうっかー。最近じゃあちょっと
飲んだだけですぐ二日酔いになっちゃうから、禁酒してたんだけどさぁー。アッハッハ!!」











伊智:「武者逝のひとりひとりの表情がこんなにもたくましく頼もしく、
そして爽やかな笑顔に見えるのは気のせいでしょうかー。
パロXのアナウンサーを担当していて、こんな気持ちになれたのは
初めてです。行け、武者逝。負けるな、武者逝。」












オーナー:
「おっと一応最後に言っておくけど、パロXオーナーのオレが活動を休んでいる間は、
当然パロXの興行自体も休んでいることになる。従ってパロXに所属している選手は
その間全員休業。オレからの指示がない限り、選手が単独で行動することも不可能だ。
武者逝は好きに使ってくれて構わんが、お前達がパロXの所属選手である限り、
勝手な自主興行を行うことは認められないぞ。」













紀所:
「それじゃあ今までやってたことと全く変わらないじゃないの!
いいわ、こうなったら武者逝の選手全員、パロXから退団させてもらう!
武者逝を独立させて、完全なプロレス団体としてワタシ達が運営してやるわよ。」

肝子:
「ちょっとぉー!?何言い出すのよ伊代!」

宇座子:
「ワタシはオーナーと離れる覚悟はできてる。今は本当にワタシを心から支えてくれる
人がいるから。その人にずっと付いていくつもり。」

肝子:
「宇座子も誰のこと言ってるのぉー?もう二人してどうかしちゃってるわよぉー。」

紀所:
「このイカれたオーナーに付いていく限り、ワタシ達は何一つとして自由なことなんて
できないのよ。団体の運営だったら、皆で力を合わせればなんとかなるわよ〜。」













オーナー:
「独立して団体を運営だとー?随分と度胸あること言えるなー。
お前達にそんな能は無いだろう。自滅していく姿が目に浮かぶよー。
ある程度束縛されてたって、オレに付いてた方が100倍安心だぞー。
まあ、どうするかはキミ達に任せるから。じゃあオレは眠りにつくぞー。」













伊智:「リング上では信じられない言葉のやり取りが続きました!
優勝の喜びの余韻は、いつのまにか遥か彼方に消えてしまいました。
さあ、パロジェクトXは本当に活動を休止してしまうんでしょうか。
このアナウンスを最後にしたくありません。では次の興行まで、さよなら。」



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