「ファイモニ公式タッグトーナメント」〜エキシビジョンマッチ試合解説〜


第1試合 イチ・ヒロ子辻 希美 VS ブラック・ウィドゥ狗神 こずえ

大会前から注目を集めていたこの対決。大会本編ではイチ・ヒロ子組の敗退により実現されなかったが、
オーナー本人からの意思により、エキシビジョンマッチという形で対決することとなった。

しかし、試合前のイチ・ヒロ子からのコメントでは自信が感じられず、負けを覚悟して闘うつもりだと話しており、
パートナーの辻も一切の取材拒否の構えを示していた(その間に控え室で差し入れのお菓子を食べていた
という噂も…)。

試合前半はペースを掴んでいるイチ・ヒロ子・辻組だが、大きなダメージを負わせる技へなかなか繋げられずに、
逆に相手チームから一発の重みで追い越されていくような印象を受ける。

辻がチャッキリストレッチ、腕殺しコンビネーション、ヒロ子が延髄斬り、バック返しオーバーヘッドキックといった
技を見せているにも関わらず、レギオンからヘッドバット、脚殺しといった原始的な技を幾つか喰らっている
だけで、自分達が体力を消耗している側にまわってしまう。

そしてウィドゥからコーナー逆さ吊り裏拳、踏み込み地獄突きを喰らったヒロ子が、ウィドゥの十八番技・
プリズン(監獄固め)を決められた時点で、ギブアップ寸前というような苦しい表情を浮かべる。
もはやイチ・ヒロ子組になす術はないのか・・・。

その後交代した辻も状況を変えられないまま、ブレーンバスターを切り返されて場外に。そして
リングインしたところでハワイアンクラッシャーを決められ、辻もフィニッシュ間近。

この後もウィドゥの圧倒的ペースが続く。カウンターマンハッタンドロップからのプリズンで何度もギブアップを迫る。
辻も時折返し技を見せて同じく監獄固めも決めるが、ダメージはあまり奪えず。

交代を受けたヒロ子へも依然、ペースを与えないまま串刺し喧嘩キック、ぶっこ抜きバックドロップといった技で
ラッシュを見せるウィドゥ。そしてジャーマンスープレックスでフォールへ。決まったかにも見えたがなんとか
カウントに間に合ったヒロ子。

一度は反撃のチャンスを見せたような場面もあったが、この後ウィドゥがプリズン3連発。これでもまだ
ギブアップを宣告しないイチ・ヒロ子、負けを覚悟しながらもファイモニオーナーとしての意地を見せる。

2度目のブルズ・ポセイドンを決められ、勝負はあったかに見えたが、ヒロ子がバック取りをエルボーで返すと、
コーナーに登ってマッドスプラッシュを繰り出しフォール。これが最後のあがきとなるのか。

だがこの後、辻がウィドゥを羽交い締めにしておいての延髄斬り。そしてカチ上げエルボースマッシュを決めると
両手クロスガッツポーズ。立ち上がったウィドゥに胴絞めフロントネックロックに捕らえて反撃開始。
最後の最後で火事場の○○力のごとく追い上げを見せるヒロ子。

だが、ここで再びウィドゥがラッシュ。返し急所パンチ後にマンハッタンドロップの連打で股間を強打させると
またもぶっこ抜きバックドロップで何度も首から叩き落とす。これにヒロ子が怒りの反撃。得意のアックスボンバー
→ドラゴンスリーパーという連繋を見せる。

そして交代した狗神にもバック返しオーバーヘッドキック、延髄斬り、返しドラゴンスクリューで流れを掴む。
ここからの奇跡の逆転勝利がふっと頭に浮かんだ瞬間、狗神がスパイラルボムを決め、これをヒロ子が
カウント3を許してしまい、奇跡は途絶えた。ファイモニと他団体とでは一発一発の重みに差があるということを、
改めて思い知らされた一戦だった。


×イチ・ヒロ子  辻  対  ウィドゥ ○狗神
(22分22秒、スパイラルボム)

第2試合 矢口 真里後藤 真鬼  VS 竹中 美紀子小川 麻琴

4人それぞれが異なる軍団で構成されたこの一戦。真鬼がファイモニの矢口とコンビ結成を申し入れ、
竹中と小川も今大会の活躍ぶりによって、このカードに組ませる事となった。

やはり喋りと同様、技の説得力でも他の上を行く竹中。本編の2戦目で当たった真鬼へもパンチ、エルボーの
連打で勢いよくダウンさせる。続く小川も好調な滑りだし。巧みな試合運びで序盤にダイビングエルボーを
2発ともヒットさせる。

これに対し矢口もショルダーネックブリーカー→セントーン、返し抱え式バックドロップでらしさを見せるが、
その後小川のペースに捕まり、リバースデスバレーを浴びてしまう。このピンチをなんとか逃れ、交代した真鬼が
反撃のチャンスを見せたかに思えたが、竹中からビンタの連打を浴びせられる。

そしてストマッククロー。危ない状況に持ち込まれたが、ここから真鬼がフェイスバスター→拷問キャメルクラッチ、
一本足頭突き→フロッグスプラッシュとテンポの良いコンビネーションで反撃する。途中外道クラッチ、串刺し
ヒッププレス、中指立て→低空ドロップキックを喰らうもファイナルローリングエルボー→ダイビングウラカン・ラナ、
そしてゴッチン式パイルドライバー→ストラングルホールドγで怒涛のラッシュ。

このまま逆転勝利に持ち込みたいが、交代を受けた小川も激しい大技のラッシュを決める。裏デスバレーボム
からフォール。そしてコーナー串刺しにされたところでマコト・エスカレーション。これをギリギリで返すことができた
真鬼だが、小川が間髪入れることなくリバースデスバレーボムで場外に落とす。

この危機を脱した真鬼、矢口へ交代。すると矢口が対一位&真鬼戦で見せた、タッチ直後のスーパーフリークを
決める。そしてコーナーへ登らせると、雪崩式垂直落下ブレーンバスターを炸裂させ、大きなチャンスを迎えた
ファイモニチームの矢口。ここから更にランニングマリッペスパイク2連発。ここでフォールにいかず、マリッペ
スパイクからの袈裟斬りチョップ→マリッペスリーパーで万全の体勢でギブアップを狙う。

が、これでもタップをしない小川。立ち上がったかと思うといきなりのマコト・エスカレーション。一発逆転に賭けた
この一撃。なんとかピンフォールをまぬがれた矢口だが、この後ツイスター→高速ジャーマンスープレックスで、
小川が矢口から3カウントを奪った。
矢口、「ファイモニ勢は大会本番では他団体勢から勝利を奪えない」というスランプを打ち破れず。

×矢口  真鬼  対  竹中 ○小川
(18分41秒、高速ジャーマンスープレックス)

第3試合 デンチャー 松浦 VS 新垣 里沙

流球。氏とホマッチ氏による対戦ではこの試合が初めてのシングルマッチとなる。お互いの選手が
空中殺法の使い手ということで、華麗な空中技の競演が期待される。

前半、ペースを掴んでいるのは優勝チームの一員である松浦。フライングクロスチョップ、スリーパーホールドで
じわじわと大技に向けて体力を削りにいく。新垣も軽快なフットワークでレッグスピン、フットスタンプなどの技を
駆使し、反撃を狙うがスーパーダイビングヘッドバット、DDT、ジャンピングバックドロップを決めたところで
松浦が更に勢いを増し始める。

大会本編でも多用した袈裟斬りチョップ連打→スーパーダイビングヘッドバットを決めると再度袈裟斬り連打、
バックを取り返されフェイスクラッシャーを喰らうもコーナー串刺しにされたところでまたも袈裟斬り連打から
スーパーDヘッドバットの連繋。そしてジャパニーズレッグロールクラッチ、ジャンピングネックブリーカー→
背面式片エビ固め、三角跳びボディアタックとピンフォールをこれでもかと狙っていく。

いずれもカウント3ギリギリのところで返し粘りを見せる新垣を場外へ投げ落とすと、今度は松浦が走り場外技の
ブエロ・デ・アギラを決めてかかる。優勝チームの一員だけあって、試合運びの上手さに加えて見せ技も
使いこなすというハイレベルな闘い方を展開する松浦。

リングイン後の新垣のリ―プフロッグ×2→人工衛生ヘッドシザースをかわした松浦が、小技の連繋を
喰らいつつも繰り出したジャンピングパワーボムで、カウント3が決まり早い時間帯で決着がついた。

○デンチャー 松浦  対  新垣 里沙×
(10分31秒、ジャンピングパワーボム)

第4試合 後藤 真希石川 梨華吉澤 ひとみ VS 石川 リキ一位 紗耶香小河 誠

半周年記念興行での6人タッグマッチでデビルモーニングが敗れた屈辱を晴らすべく、3大若手エースチームの
後藤・石川・吉澤が、リキを筆頭とした琉球。氏連合軍に勝負を挑んだ。

優勝チームの一員、リキを相手に意外な程有利なペースを展開する後藤。そして石川も一位を相手に
素早い技のコンビネーションで即座に相手チームのパートナーへと交代させる。続く吉澤もフロントスープレックス、
正拳突き連打、気合いを入れ直す弓引きガッツポーズでその場を盛り上げる。

ここまで完全にペースをものにしているファイモニチームだが、リキが吉澤にぶっこ抜きブレーンバスターを
決めたところで、少し空気が変わり始める。そうダメージは喰らっていないはずの吉澤だが、その後のエルボー
ドロップホールドがまさかのカウント2.9。一見ファイモニチームが有利に見えていたはずが、一転してリキ組が
ペースを握っているかのように見え始める。

が、交代後の後藤がギロチンドロップを当てておいてバックを取り、ドラゴンスープレックスを狙いにいく。これは
振り解かれカウンターラリアット→サソリ固めで反撃されるものの、続く石川がジャンピングバックドロップから
フルネルソンバスターでフォールに。これがカウント2.9。フィニッシュ間近にまで追い詰める石川。

快調にペースを保つ石川、一位へもジャンピングバックドロップ、スイングネックブリーカー、そして一回転ドロップ
キックと鮮やかな連繋攻撃を見せる。その後に変形ツームストンからバックを取っての前方回転エビ固めで
再びフォール。だがすぐさま起き上がった一位のブリザードスープレックスもカウント3ギリギリ。優勢とはいえ
決して油断は出来ないファイモニチーム。

ここで交代した後藤も高速ブレーンバスターから一回転ドロップキックを繰り出し、そこからダイヤモンドカッター、
フライングニールキックと決めておいてスモールパッケージで丸め込み、念願の勝利があとわずかまで迫る。
更にグラウンドコブラツイスト、クロスアームサンダーファイヤーでラストスパート。これは惜しくも3カウントならず。

この後後藤ヘ延髄ラリアットを喰らわし、小河が交代するとタッチを受けたリキがすぐさま卍固めの体制へ。
どこからでも入り込んでギブアップを狙うことのできるこの技。そしてリキが侍パワーボムを決めて、後藤がピンチ。
これが決まってしまったかに見えたが何とか3カウントが入る前に返せた後藤。ここで石川にタッチが間に合う。
もしタッチをしていなかったら、このままリキに押されて逆転負けを喫するところだったかもしれない。

石川が串刺しDDTを2連発。ここからフォール技に繋げたいが、リキから叩きつけラリアットアタックを
浴びせられる。そしてリキがバックを取っての卍固め。押されながらも冷静な判断で技を仕掛けていくリキ。
さすがに優勝チームとしての自信があるのか、この後の石川の技を逆さ押さえ込みで切り返し、フォールに。

これも危ない状況であったが、石川が寸前で間に合い勝負は終わらず。もはや先の展開が全く予測つかない
状況。が、ここで石川が起死回生のリストクラッチリカッチスライダーを炸裂。電光石火の荒技、これにはリキも
溜まらずダウン。そして石川が最後の力を振り絞り、バックを取ってもう一つの得意技、フルネルソンバスターを
決めて渾身のフォール。

これが遂にカウント3を数えて、後藤・石川・吉澤組が半周年記念興行のリベンジを果たし、
「大会本番ではファイモニ勢が勝てない」というスランプを見事打ち破ってみせた。

後藤 ○石川  吉澤  対 ×リキ  一位  小河
(20分20秒、フルネルソンバスター→背面式片エビ固め)

―交流戦第2弾の全編を終了し、オーナーから最終的な結論を一言お願いします。

イチヒロ「うん、最後の試合を勝利で飾って幕を下ろすことができたので、とりあえず悔いはないです。
でもファイモニの選手が他団体の選手とだいぶ能力に差が出ていることは事実。次回の交流戦については
まだ考えていませんが、もしやるとしたらパラメーターの使用量をもう少し制限するかもしれませんね。

―オーナーご自身がこれから全国各地のプロレス団体へ参戦するという計画をされているそうですが。

とりあえず今は、僕自身がこれから他団体を渡り歩いて試合をしていきたいという気持ちがありまして。
本当にネット上でのプロレス団体というのは星の数ほどあります。それら一つ一つを回って多くの団体と交流し、
闘いを楽んでいくというのは考えただけでワクワクしてくるんです。

自分の団体では「勝ち負けよりも試合内容の良し悪し」で決めていますが、他団体で自分が参戦するとなると、
「結果が全て」になるんですよね。自分が直接その試合を見ていないわけだから、結果に賭けるしかないんです。

今の僕のやり方では他団体の選手に勝つことは難しいという事を知り、それによってファイプロの奥深さを
改めて発見することができたので、これから新たなスタートを切って、更に爆進していきたいと思います。