「ファイモニ半周年記念興行」〜試合解説〜
第4試合 フレイヤ&シーリング VS 石川 梨華&吉澤 ひとみ第1回戦 小河 誠 VS 辻 希美 遂に開催となったファイモニ半周年記念興行。まず最初に闘うこととなる相手は、 STO、四の字ジャックナイフ固めなどプロレス界のW小川の技を使いこなす小河誠。 そしてそれに挑むのが、ファイモニ屈指の身軽な動きとテクニックの使い手、辻希美。 先日の試合ではホマッチ氏が送り込んだ刺客の一人、シーリングから見事な勝利を挙げているということで、 この試合も辻へ向けて大きな期待が寄せられている。 開始1分も間もないというところで小河がマシンガン逆水平チョップ、そしてすぐさまロープへ反動をつけて 何が飛び出すのかと思ったらピープルズエルボー。初の交流戦はまさに“型やぶり”な幕開けとなった。 未知の強豪を相手にファイモニのレスラーがどこまで食いつけられるのか、不安な空気に包まれている会場だが、 序盤から中盤にかけては互角な闘いを展開している辻。 非力な部分はテクニック、素早いロープワークで充分にカバー。カウンターのスピンキックを2発決め、 渡り合えてることをアピールする。 中盤、辻が好調に試合を進めているかに見えたが、小河が河津掛けからラウンディングボディプレスを決めて 一気に大技狙いの作戦に出る。辻も腕殺しコンビネーション→クルックヘッドシザースで対抗するが、 小河がいつ爆発するか分からない、緊張した空気が漂い始める。 辻がそんな空気を取っ払うために、後頭部低空ドロップキック→ラ・マヒストラルや ノノトルネード(ローリングクレイドル)で必死の応戦。ここから大技で一気にスパートを見せたいところだ。 辻がコーナーに振られたのをサマーソルトで切り返す。しかしその後にボディスラムから「見とけよ!」と 掛け声を発した小河がダイビングニードロップを決める。再び不穏な空気がおとずれるが、そこから辻が、 会心の回転地獄蹴り。辻へ大きな声援と拍手が巻き起こる。が、小河のチンクラッシャーで辻ダウン。 それを見計らってコーナーへ登り、この試合2発目のラウンディングボディプレス。 ピンチを迎え、苦しい状況の辻。ここはなんとかカウント2で耐え凌ぐ。 会場のファイモニファンの声援に応えるため、辻も逆さ押さえ込み、前方回転エビ固めなどで巻き返しをはかる。 まだまだ勝負を譲らせまいという辻の想いが、ひしひしと伝わってくる。 小河がスクールボーイ、四の字ジャックナイフで何度もプレッシャーを与え続けるが、辻もチャッキリストレッチ、 スクリューハイキックで確実に勝利への布石を作る。勝負は最後までわからない状況となってきた。 いつ決まってもおかしくない固め技を、毎回ファンから送られてくる「辻ちゃん」コールに応えるため カウント2.9で返す辻。そしてこんな状態でも鶴の舞ポーズを時折見せるというサービスぶり。 たとえ負けたとしても、これは後の試合への良い繋ぎになったと言えるだろう。 辻のローリングジャーマン、小河の四の字ジャックナイフでの激しいフォール合戦の末、 再び小河が決めた四の字ジャックナイフ固めでようやくカウント3が入り、最初の戦いは終わった。 (17分59秒、四の字ジャックナイフ固め) 第2試合 小松 美香 VS 加護 亜依 〜試合前のインタビュー〜 小松「うぅ、初めて試合がヨソのリングだなんて・・・技とか失敗しないようにしなくっちゃ・・・(汗)」 前哨戦でのタッグマッチで火花を飛ばし合っていた小松と加護。二人の要求により、 この大会で直接試合を行うこととなった。 序盤から小松がやや優位に試合を進めている印象が伺える。加護もそう調子は悪くないが、 エルボーの連打を何度も喰らい、ペースを取り乱し気味の状態。 モンゴリアンチョップ、ヘッドドロップでようやくらしさが出たかに見えたが、剃刀ブレーンバスターを失敗し 場外へ落とされる。そして開始6分、小松がボディスラムから手を持ち替えて、加護を首からまっ逆さまに 叩きつける。いきなりの危険技にただ口を押さえるばかりの観客。 そこから逆片エビ固め、アトミックホイップ、カウンターの裏投げで圧倒的にペースを掴む小松。 反撃のチャンスを見出せず、ただただフォールを気力だけで返す加護。このまま終わってしまうかと思われたが、 マウントでのモンゴリアンから立ち状態で再びモンゴリアン、そしてテキサスクローバーホールドを決めて ようやく息を吹き返す。 その後再びリバースパイルドライバーを決められるが、バック取りを暴れて阻止し、インディアンデスロックで 余裕を見せる。そこからモンゴリアン→リバースDDTで反撃を開始。更にヤイヤイヤーストレッチ、 テキサスジャブからここ一番の大技、スイングフランケンシュタイナーで勝負に出る。 加護にようやくチャンスが来たかに見えたが、不意を突かれて3度目のリバースパイルドライバーを 決められてしまう。ここから再び小松の大技ラッシュが始まる。出し惜しみすることなく雪崩式ブレーンバスター、 ローリングソバット、バックを取っての裏投げと安定感のある技を立て続けに繰り出していく。 もはやなす術も無く相手の思うままに大技を浴びせ続けられる加護。ブロックバスターホールドが 最後の反撃技となり、その後の裏投げ2連発から胴絞めスリーパーホールドで完全に落とされ、 あえなく敗北。ファイモニチームが2連敗となった。 (17分38秒、胴絞めスリーパーホールド) 第3試合 キューティ金井 VS 安倍 なつみ 第1試合、第2試合と負けを喫し、ここはなんとしても勝利で飾り、ムードを変えたい安倍。 プレッシャーに押される中、3試合目のゴングが鳴った。 真正面からぶつかっていく金井に対し、安倍は落ち着いてそれらの技をさばいていく。 逆片エビ固めで何度も脚を固めにいき、起き上がって間もなくフロントスープレックスを決める。 金井もDDTの連発から、早くもブレーンバスターを雪崩式で見舞っていく.そこからの逆エビ固めが ガッチリ決まり、安倍が苦しい表情で声を上げる。この決まり具合から、安倍の体力の消耗が心配される。 ジャンピングバックドロップ→フライングニールキックでペースを上げていく金井。確実に大技への繋ぎを 狙っているかに見えたかと思いきや、安倍がいきなりのハリケーンドライバーを繰り出し、状況が一変。 そこから垂直落下式ファルコンアローで再び勝負にいくが、これは金井が一瞬の早業脇固めで上手く切り返す。 しかし今度は安倍がナッチクラッチ。執拗に短期決戦を狙いにいく安倍。金井もそれに応えるように、 ダイビングボディプレス後に得意のノーザンライトスープレックスでフィニッシュにいく。 ここで更にテンションを上げる安倍、ジャンピングDDT→延髄斬り、そしてナッチクラッチをこれでもかと 連続で丸め込む。 厳しい状況に追い込まれた金井。再びノーザンライトを狙ったもののDDTで切り返され、 体力が尽きたかに見えたが、指回しアピールで観客に視線を向かせてからの両手押さえフォールが カウント2.9。そしてファルコンアローをまたしても脇固めで切り返し、串刺しボディスプラッシュも 寸前のところまで誘い込んでからかわし、コーナーへ激突させる。そこからの回転エビ固めがカウント2.9で 安倍危うし。更にはコーナーへ登らせたかと思うと、雪崩式の後方回転エビ固めでファイモニファンの 度肝を抜かす。いつのまにか自分が追われる立場へと変わっていた安倍。 だが追い込まれながらもジャンピングDDT、三角絞めで意地でも勝とうとチャンスを伺う安倍。 金井がジャンピングバックドロップ→足四の字固めでギブアップを確信したような表情を見せるが、 解いた後に安倍がスモールパッケージホールドで丸め込み、これをカウント3までに肩を上げるのが 間に合わずピンフォール。 ここでなんとかファイモニチームが一勝目を挙げた。ハラハラする場面が数多く見られ、 安倍も決して容易に勝てたとは言えない相手だったであろう。 (14分27秒、スモールパッケージホールド) 試合前、吉澤が「ウチでやってる団体のトップの選手が、他団体の選手にそう簡単に 負けるわけにはいかない、プライドがある」と、自信に満ち溢れたコメントを残した。 先日のタッグリーグ戦では石川をパートナーに、圧倒的な強さで危なげなく優勝の栄冠を勝ち取った吉澤。 ここで勝利してファイモニチームの成績を五分にしたいところだ。 フレイヤの豪快なボディスラムの2連発で、石川が腰を押さえて倒れ込む。そして「ここだよ、ここ」と フレイヤが声を出し、石川をネックロックで絞め上げて動きを止めにかかる。 ここで早くも石川が吉澤へ交代する。パワーでは充分にフレイヤに対抗できる吉澤、すぐさまに 滞空時間の長いブレーンバスターで持ち上げる。 ここでフレイヤがシーリングに交代。アマレスをベースとした攻めを展開するシーリング、それに対し吉澤は 脳天エルボー、ニーリフトなどの打撃技で攻略にかかる。そしてシーリングへも長滞空ブレーンバスター。 コメント通り、堂々とした戦いっぷリを見せている。 シーリングがフレイヤに、吉澤が石川に再び権利が移ると、お互いにより積極的な攻防をしはじめる。 先程は今一つ動きが良くなかった石川も、ジャンピングバックドロップ、フラッシングエルボーを 軽快な動きで叩き込む。 そして開始11分、フレイヤにコーナーへぶつけられた直後、石川電光石火のエクスプロイダーを炸裂、 そして間髪入れずにイシカワホールドでフレイヤの体をねじ上げ、一気にチャンスを掴む。 ここは無理をせずフレイヤがシーリングに交代。そしてシーリングへもジャンピングバックドロップを決める石川。 誰もが石川・吉澤組の優勢かと判断していた矢先、シーリングが突然のジャンピングパワーボムを繰り出し、 観客が動揺。ここからのフォールがカウント3ギリギリの状態。さらにフィッシャーマンバスターも 決められてしまい、ファイモニチームに再び不安が訪れる。 ここで吉澤に交代。石川がやられた分を一気に取り返したいところだ。その期待に応えるように、 フロントスープレックス、逆回し蹴りを鮮やかに決めて、更にSTOからフォールへ。これがカウント3ギリギリ、 再びチャンスが訪れる。 だが決して油断はできない状況。シーリングが自慢のアフロヘアーを生かした頭突きの連打から、 “パーフェクトブリッジ”と呼ばれるマヤ式スープレックスを決めていく。「シーリングの投げ技の破壊力には 充分に注意すること」とオーナーが呼びかけた通り、ここから高速フルネルソンスープレックスの連打まで 喰らってしまえば、命がいくつあっても足りないだろう。 ここでフレイヤに交代。気を取り直して再び攻めに入りたい吉澤だが、今度はフレイヤの必殺ブラスト・ボンバーが 決まり、さらなるピンチを迎える。ここの場面はなんとか逃げ切り、石川へ交代。石川もブルドッキング ヘッドロックを決められてペースを奪われたかに見えたが、石川も串刺しDDT→腕ひしぎ逆十字固めで挽回、 大きな声援が巻き起こった。 トラースキックで一旦ダウンさせ、立ち上がらせてからバックを取り、そのまま上体を反らせての 高速ジャーマンスープレックスでフォールに入る。さらに、変形ツームストンパイルドライバーを2連発。 そこからもう一度高速ジャーマンスープレックス。「これで決まったか!?」とファンが声を揃えてカウントを数える。 しかしこれは惜しくもカウント2.9、フレイヤのスタミナはまだ底を突かない。 石川がラストスパートで勝負をかける。フライングネックブリーカー、フルネルソンバスターと技を繋いでいき、 もう一度バックを取りにいったがこれはエースクラッシャーで切り返される。後一歩のところで勝利を 逃してしまった石川。 ここでシーリングへ交代。先程シーリングからジャンピングパワーボム、フィッシャーマンバスターと 立て続けに大技を決められており、緊迫した空気に変わりはじめる。そしてシーリングがブレーンバスターに 持ち上げ、1テンポおいてから垂直落下式で叩きつけ、場外に落ちる石川。それを見て礼とピースアピールを 交互に出し、不敵な笑みを浮かべるシーリング。 石川がリング内に戻った後も、シーリングへと流れが変わった状態に。雪崩式から高い位置での サイドスープレックスで投げつけて、戦慄の高速フルネルソンスープレックスが石川の首を容赦無く急角度で 打ちつける。勝利と見たシーリング、ここからダメ押しのジャンピングパワーボムでフォールに入り、 返す気力の無い石川、痛恨の3カウント。掴みかけた勝利の切符を最後の最後で奪われる結末となった。 (23分03秒、ジャンピングパワーボム) 〜試合前のインタビュー〜 らら「・・・」(←寡黙なのだ) 開始直後、ららが後藤をロープに振り何を狙いにいくかと思ったら、奇襲の踏み込み式掌打。 さらに掌打の速い連打で後藤をグロッキーにさせると、もう一度ショートレンジから踏み込み式の掌打。 あまりにも早いららの大技連発に、後藤が漠然とした表情になる。 試合前は特にこれといった事を語っていなかったららだが、ファイモニのエース・後藤への密かな対抗心が この試合で見てとれる。 このままららのハイペースな展開で試合は中盤へと近づいていく。このあたりでようやく後藤も反撃に移り、 小刻みな動きで相手からダウンを奪いにいき、バックを取ると先程のお返しとばかりに早い段階で ジャーマンスープレックスホールドを決める。火がついてきた後藤、鎌固め、フライングニールキック、 グラウンドコブラツイストと手際良く技を繋いでいく。 しかし、ここでららが再び掌打のラッシュ。踏み込み式で倒させると、そこから高角度ライガーボムを 助走をつけて勢いよく叩きつける。カウント2で返したのを確認すると、もう一度後藤を軽々と持ち上げて 2連続で決める。後藤も必死に耐え凌ぎ、中技で応戦するが、またしても高角度ライガーボム。 これで勝負あったかに見えたが、これも後藤が気力で切り抜ける。実力ではららに一歩ひけを取るが、 気迫だけは決して負けないという後藤の熱い想いが、会場のファンに伝わってくる。 最後の力を振り絞り、垂直落下式ブレーンバスター、投げっぱなしジャーマンを喰らいながらも 「こぉのやろー!」と威勢を上げてのダイヤモンドカッターでやられた分やり返し、自分がフォールされれば 自分の技で丸め返し、ファイモニが求める王道プロレスを体ごと使って表現している。 デスバレーボムを2度とも読み切り、実力派女子プロレス団体「ELF」の底力を見せつけるらら。 福田戦と同様、ワイルドボムホイップからのフロッグスプラッシュで、この試合も見事に勝利で飾った。 (11分59秒、フロッグスプラッシュ) “ダークカーニバル”後藤 真鬼&N(ナッチ)&ミスター・カーゴ VS “デビルモーニング”中澤 裕子&飯田 圭織&保田 圭 “デビルモーニング”に対抗し、“ダークカーニバル”と名付けられた恐るべき過激派集団。 相手を威圧するその存在感はまさに“脅威”である。この試合も、「デビルモーニング3人が相手では 歯が立たないのではないか」、「3対4で組ませてはどうか」と案が出されたが、「フェアな試合を心掛けるため、 負けてもいいから3人で闘わせる」というオーナーのコメントにより、予定通り3対3のタッグマッチとなった。 予測していた通り真鬼に押され気味の中澤、ゴリラスラムで一発投げてからすぐに飯田へ交代。が、 その飯田は相手のパワーに物怖じせず、逆水平の連打からパイルドライバーを真鬼へ決め、すぐさま N(ナッチ)へ交代させるという強さを見せる。 しかしここから、飯田・保田がナッチのペースへ引きずり込まれる。フロントハイキックから マヤ式スープレックスで、保田が危うく3カウントを取られそうになる。中澤が立て直しを図るが、交代を受けた カーゴからリング中央でバイアグラドライバーを受けてしまい、またしてもカウント3ギリギリの状態に。 先程は健闘を見せた飯田。カーゴに凶器攻撃を受けられながらも、パイルドライバー、ブレーンバスタースラム→ サソリ固めで動きを止めにかかる。一本足頭突きで飯田が倒れると、カーゴが突然ホーストダンスを踊り始める。 これは一体何を意味しているのか。いけにえを祭る踊りのようにも見えるこの一場面。 その後真鬼へ権利を移すと、さらに激しい力技と空中技の連発で保田をじわじわ追い込ませる。 そしてコーナーへ登らせ雪崩式に入ると、ダブルアームの体制からなんとタイガードライバーで リングへまっ逆さまに叩きつけた。そこからストラングルホールドγで保田万事休すの状態。 ここを凌ぎなんとか中澤へ交代は出来たものの、完全に試合を支配しているダークカーニバル。 場外戦で中澤が腕殺しの連打で意地を見せるが、リングイン後にゴッチン式パイルドライバーを決められ、 その後のムーンサルトフォールを返す余力が無く、デビルモーニング撃沈。 半周年記念興行のトリは、ダークカーニバル一色に染め上げられた。 (16分59秒、ムーンサルトフォール) 〜ひとまず交流戦第一章を終え、ファイモニ対戦成績は一勝五敗。全員玉砕を覚悟して挑んだとはいえ、 オーナーもこの結果にやりきれない想いを感じていたはずだ。 未知の強豪との戦いを終えたファイモニの選手達から、こんなコメントが寄せられた。 加護&辻「いたかったぁー!」 辻「だってねえ、ののの相手の男のひとがナンかすごいんだもん。」 加護「あいぼんは女のひとだったけどすんごいつよかった。ぜんぜんやられないんだもん。」 安倍「アーッ、なっち今日疲れた。結局ウチラで勝てたのワタシだけー?」 吉澤「そのうちリベンジしますよ。このままだと終わっちゃうから。」 石川「うん、ヨッスィーまた一緒に闘おうね。今度は勝てるようにポジティブに!」 後藤「あんまり活躍できなくてすいませんでしたー。ごっちんとしては一応がんばってみたんだけど。 うーん、なんてゆうのかなー・・・。どうやってやったらいいかわかんなかったから。」 中澤「私ももう体にあんまり無理きく歳じゃないからさー、私にキツイことやらせないでくれるー?(笑)」 飯田「また次の大会があるさー。それまで気を引き締めてがんばろー。」 保田「裕ちゃんまたこの次やらされるんだってさー(笑)。」 |