中澤裕子引退試合・挑戦者決定バトルロイヤル
―3月13日、コンサートホールのメッカであるニ本武闘館で、中澤の卒業試合の相手を決めるための
バトルロイヤルが開催された。
出場選手はモー娘。新旧メンバーが揃い踏みし、場外へ出たら負けの
「オーバー・ザ・ロープ」形式で行われた。

しかし、大会前日までに「ゆかりのある選手が相手を務めないと、盛りあがらないのでは」という意見が
多かったため、若手選手が相手をすることになったら、卒業試合の話題性が薄れて観客動員数が
落ちるのではないかと心配された。
だが、加護ら若手勢の活躍や、目まぐるしく主権が入れ替わる軍団抗争劇によって、
興行は連日連夜超満員を記録している。
そして今回も、チケットは2日間で完売という、格闘技の大会としては実に異例な売れ行きである。
動員数の心配は、もう過去の話のようだ。もはやどの選手が相手をしようとも、名勝負必至の
好カードとなりそうだ。

それでは試合内容に移るとしよう。まずは若手勢がベテラン勢へ向けて激しい攻防をぶつけていく。
特に元気なのが加護。安倍にモンゴリアンチョップ、掌打などの打撃技を連発する。
そしてしびれを切らした安倍がラリアットを放つのをかわし、加護がロープを駆け登ってのスタナーを決める。
周りの選手がフォールで乗っかろうとするが、これは安倍が瞬時に判断してヘッドスプリングで難を逃れる。

時を同じく辻が、石黒へスクリューハイキックを見舞って場外へ落とし入れようとする。
そこは飯田がフォローして、若手に負けまいと石黒との共闘作戦に出る。
その作戦に加わろうとした市井と保田を、裏切る形で飯田と石黒がダブルジャンピングニー。
飯田が市井をエビ固めでフォールし、石黒と吉澤もフォールに加わってあえなく市井が最初の脱落者となる。
その後保田が石黒にカバーさせられるが、ローリングクラッチホールドで切り返し、逆に石黒が2人目の
脱落者となる。
最も中澤との試合を強く希望していた石黒であったが、誰が落とされるのかわからないのが
バトルロイヤルであり、悔しさは人一倍に大きかったであろう。

試合前に石黒がこんな発言をしていた。
「最後まで残れなかったとしても、私はどうしても裕ちゃんと試合がしたいから、無理矢理乱入してでも
やりますよ。辻と加護だけには卒業試合なんてやってもらいたくないね。」

これが現実に起これば、メモリアルマッチも滅茶苦茶になってしまうのではと心配になる。
石黒には何とかこの悔しさを耐え忍んでもらいたいところである。

さて試合に戻るが、その後は開始から6分後に保田が、矢口にドロップキックで場外へ落とされて脱落。
そして7分後には安倍がナッチクラッチで押さえて飯田撃沈。
10分後には石川が福田にエクスプロイダーを炸裂させてピンフォール。だがその時石川も、
フォールの餌食にされて両者撃墜。

残るメンバーは安倍、矢口、吉澤、辻、加護の5人に絞られた。ベテラン勢は序盤から多くの
選手が消えてしまっている。3人とも揃っているミニモニの面々が安倍を潰しにかかり、吉澤も応戦。
矢口と辻がダブルのブレーンバスターを決めた後に、吉澤が滞空式パワーボムで安倍をピンフォール。

そしてミニモニが吉澤を捕らえるのかと思いきや、吉澤は辻と手を組んで2対2に。
トルネードタッグマッチのような形となって、お互いにフォールを譲らせない。
だが開始後20分、スキをついた吉澤が加護を場外へブレーンバスターで落とす。
すでにリングアウト負けになっているにもかかわらず加護が、吉澤の足を引っ張って巻き添えにさせようと
する。辻はその時、矢口にマリッペスパイクを決められてしまい、助けに向かうことが出来ず。
矢口がすかさずスライディングでのドロップキックを繰り出し、吉澤脱落。
中澤との試合の相手は「矢口」か「辻」かにとうとう持ち越された。

両者共にスタミナは充分に残っている。矢口が腕を固めにいくと、辻が切り返して腕を固め返す。
ここからはグラウンドの展開が続き、30分が経過する。やや息が荒くなってきた矢口だが、
試合を不利に進めている感のある辻。
腹部へドロップキックを当てて、ツームストンパイルドライバーからコーナーに上ってサマーソルトドロップへと
連繋していく辻を、寸分でかわした矢口が脇固めをすかさず決め、辻が失神寸前の状態に。
完全に決まっていたが、辻はギブアップをコールしない。そこからそのままマリッペスリーパーに移行する。

勝負を諦めていない辻は、絞められながらも立ち上がり、投げ返そうと必死に矢口の体を持ち上げる。
やがて矢口が自分から技を解き、フロントネックロックからマリッペスパイクを狙う。
持ち応える余力が残っていなかった辻は、首からそのまま叩きつけられて、カウントを取られる。
危うくカウント2.9で返せた辻だが、顔はうつろなまま。

「よっしゃ!決めるぞー」と矢口がフィニッシュ宣言し、アバランシュプレスからダイビングセントーンを
鮮やかに決めて、強引に引き起こしての雁之助クラッチ。これで決まったかと思いきや、
どこに余力が残っていたのか辻が、アームホイップで投げつける。
再び雁之助クラッチを狙おうとするが、辻が空中で一回転しながら腕を巻き付けて、
受け身の取れない体勢でチャッキリドライバーを放つ。カバーに行かず、バックを取って
ローリングジャーマンスープレックス。だがピンフォールには至らず、矢口はカウント2を入れさせる前に返す。

どちらもスタミナを使い果たし、両者ダウン。
しばらくして、辻がへとへとになりながらも矢口の頭部へエルボー連打。雪崩式に持っていき、
カチ上げエルボーからみちのくドライバーでフォール。かなりの急角度で決まったため、返せないと
判断した観客は、既に試合が決まったかのように拍手を巻き起こす。
だが矢口の片方の肩が上がっていたため、カウントが入らない。

その時辻が、我を忘れたかのように茫然となっているのを見計らった矢口が、足を掴んでトルネードボム。
そしてコーナーへ振ってジャンピングニ―。お返しと言わんばかりに今度は矢口が雪崩式に持っていき、
ブレーンバスターと見せかけての垂直落下式マリッペスパイク。そしてすぐさま最近多用している
スーパーフリークを敢行する。これもカバーに行かず、餅つき式で持ち上げて、
最後はサンダーマリッペボム。会場大熱唱でカウント3フィニッシュ。
ボム系の技を連発した末、遂に矢口が勝利を手にした。

矢口「いやぁー、最後めっちゃめちゃキツかったですよぉー。辻もあきらめないんだもん。
最後のお客さんのカウントコール聞いたとき、ビックリして心臓飛び出ちゃいそうになりましたよ、
キャハハハ!!・・・。」


中澤「ヤグチよぉガンバッたなぁ。自分もビデオ見ながら応援しちゃいましたよぉ。
その矢口が自分と闘うのは気まずいなぁ(笑)。」

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