X−2 GRAND PRIX

−準決勝&決勝試合結果−




−準決勝第1試合−
あさ美ちゃん VS 美式 お浄


パロX交流戦では毎度の恒例となっている「P.O.GvsパロX」による宿命の対決。この試合の序盤はあさ美ちゃんがリード。エルボー連打やサイドバスターといった中技を確実に繋いで大技ラッシュへの下準備にとりかかります。そして3分台に最初のストラングルホールドγ。4分台にはお浄から急降下バックドロップを浴びるも先に立ち上がり2度目のストラングルホールドγ。

この後お浄も脳天唐竹割りを繰り出すなどペースを上げていきますが、叩きつけラリアットアタックは空を切り、代わりにあさ美ちゃんが垂直落下式ブレーンバスターで投げつけて最初のフォールへ。これが早くもきわどいカウント2.9。ここは一気にフィニッシュへ持ち込みたいあさ美ちゃん、続けざまダブルアームDDTも決めてお浄を場外に落とすと、両腕を上げ観客にアピール。観客も大きな拍手で応えます。

お浄が場内に戻るとこの遅れを必死に取り戻そうと、脳天唐竹割りを2連発で決めていきますが逆にパワーボムホイップで数倍に返され、バック取りもフライングメイヤーに捕らえられます。そしてあさ美ちゃんがジャーマンスープレックスホイップ。これに負けじとお浄もコーナー逆さ吊りから張り手の連打を見舞いますが、勝利まで後一歩のあさ美ちゃん、今大会初披露となる「あさ美ジャンピングキック(ジャンピングハイキック)」で再びリードします。

必殺技ももろに喰らい、スタミナは底を突いたかに見えるお浄ですが、武者逝最後の望みとしてその闘志に火を付けたか、この後カウンターで得意のジャンピングヒップアタックを決め反撃。起き上がらせ叩きつけラリアットアタックからのエビ固めでフォール。逆転勝ちも目に見えたか、カウント2.9というところであさ美ちゃんが肩を上げます。

ここからは武者逝タイムだと、2度目のヒップアタックを決めテキサスロングホーンのポーズ。すかさずバックを取りますがこれはあさ美ちゃんがフライングメイヤーで返し、一礼するとそのままフォールへ。お浄が2で返し、今度は続けてお浄があさ美ちゃんをフォール。これも2カウントであさ美ちゃんが間に合います。

この後あさ美ちゃんが女子式ボディスラムを決めると、予選でさゆみんを破ったストラングルホールドγに入り、一瞬のタップアウト勝ちを狙います。これに会場が大きくどよめきますが、お浄が脱出に成功。するとお浄が腿キックであさ美ちゃんをダウンさせ、コーナーに登ります。起き上がりを確認しダイビングヒップアタックを敢行。ここからフォールには行かず、あさ美ちゃんを場外に落とすと「よいしょー!」の掛け声とともに四股踏みポーズ。武者逝のレスラーであることをまじまじと見せつけます。

場内に戻ったあさ美ちゃんに再び腿キックを決め、エビ固めで渾身のフォール。レフェリーとの位置関係が悪かったため、3カウントには至りません。お浄の逆転勝利はなるものかと、ここからあさ美ちゃんが奮起しコーナーへ押しつけ串刺しのドロップキック。しかし風はお浄に向いているのか、すぐにアメイズインパクトでリードを戻し、コーナーへ登ると天へ捧げるテキサスロングホーン。これが最後の一撃となるか、この試合2発目のダイビングヒップアタックで勝利に賭けるフォール。

決まっておかしくないこの状況で、あさ美ちゃんが執念で2カウントで肩を上げ、会場が揺れ動く大歓声。トップ選手も顔負けのこのガッツに、パロXファンの観客からもあさ美ちゃんコールが巻き起こります。これに更なる攻撃を加えるお浄、串刺しジャンピングヒップアタックから叩きつけラリアット。が、この後あさ美ちゃんが雪崩式の体勢へ、イチかバチかの大きな賭けに出ます。


これを決めることができれば一発勝利も狙うことができましたが、惜しくもお浄のエルボーで自らがマットに叩き落とされます。お浄がダイビングフットスタンプの追撃から急降下バックドロップ。ここからフォールに入れば勝利は確定か、しかしここでスタミナ切れとなったお浄、自らもダウンしフォールに入れません。この間回復に務めたあさ美ちゃんがハンマースロー、が、これは逆にお浄がロープへ振り返し、カウンターのジャンピングヒップアタック。

そして最後の仕上げに入るべくバック取り。再三バックを狙ってきたお浄ですがこれもあさ美ちゃんがフライングメイヤーで切り返し。すると遂にチャンス到来か、ここであさ美ちゃんがハイキックラッシュ。しかし、この直後待っていたのはお浄の必殺「しゅば〜ん(シュバイン)」。苦戦を強いられる中掴んだこのチャンスは無惨にも破壊されます。

そして駄目押しの腿キックからエビ固めへ。完全に勝利を確信したこのフォール、が、これでもカウント3は入らず。あさ美ちゃんの脅威的な精神力にはただただ驚かされるばかりです。そしてここから立ち上がるあさ美ちゃん、腹部への強烈なミドルキックでお浄ががっくり崩れ落ちます。そしてバックを取り、逆転勝利へのフィニッシュへ。しかし投げつけるまでの余力は残していなかったか、これは返され逆にお浄がバックを取っての急降下バックドロップ。

今度こそお浄がピンフォールを奪えるか。が、またしてもスタミナが尽き果てているためフォールに入れず。この後の起き上がりでどちらがフィニッシュに持ち込めるか。ほぼ同時に両者が立ち上がる中「しゅば〜ん」の体勢に持ち込んだお浄、この試合2発目のしゅば〜んを成功させ、最後の最後のフォール。ここで遂にカウント3のゴングが入り、予選と同様に15分を越える死闘を繰り広げたあさ美ちゃんからお浄が意地のピンフォール勝利を奪い、決勝戦に進出です。


×あさ美ちゃん  対  美式 お浄○
(15分26秒、しゅば〜ん→エビ固め)




−準決勝第2試合−
アントニコ 小川 VS ポップ・サップ


開始草々、獲物を目掛け突進してくるサップをうまくかわしバックに回り込み、バックドロップで先制するアントニコ。その後も闘魂ビンタやフロントスープレックス、ナックルアローなどが決まり、真田から圧勝したサップに対し幸先の良いスタートを切ります。

これといった大技を仕掛けられることもなく、ツームストンからのスピアー、2度目のバックドロップ、串刺し背面エルボーとアントニコが優勢。この直後ロシアンフックから放り投げリストアップスラムに捕らえられますが、逆に得意の卍固めも決めていきます。

しかしここから眠れる野獣が目を覚ましたか、サップがモンゴリアンチョップ、リバース水車落とし、腕ひしぎ逆十字、超肉弾プレス2連発と連続で技を入れていきこの後の暴走ファイトを予感させます。それはなるものかとアントニコもバックドロップからスピアー、ガッツポーズを決めジャーマンスープレックスホイップで豪快に投げつけるなど一歩も引きませんが、この後頭掴みラリアットをもろに浴びてしまい、腕ひしぎ逆十字に悲鳴の声を上げます。

ここからMi〜zuhoタイムの始まりか、アルゼンチンアピールでリングを大きく揺らし観客を煽ります。が、これに怒ったアントニコが起き上がりざま、サップの体を気合いごと持ち上げてのジャンピングパワーボム。これには驚きましたが、サップがフォールを2で返すと再びリストアップスラムからアルゼンチンアピール。そしてそのままコーナーポストへ、場内に緊張が走るこの瞬間。全体重を肘にのせたドルフィンDエルボードロップを決めてフォールし、危うく2.9でアントニコが逃れます。

いよいよ本格的に暴走し始めたサップ、この後クレイジーファッキンのポーズからエルボードロップホールドで再びフォール。リストアップスラムから再びクレイジーのポーズを見せると、バックを取り大阪御堂筋スタナー。大技に苦しめられるアントニコですが、この後先程と同様に起き上がりざま気合いのパワーボム。「馬鹿になれ」という師の格言に相応する馬鹿力で、サップにあえてパワーファイトで対抗します。

やはり一発一発の破壊力ではサップが数段上か、それほどダメージを残すことなくすぐにリストアップスラムでペースを取り戻し、自らの強さに酔いしれるようにリングを揺らし雄叫びを上げます。そしてバックを取りスタナーのときと同じ体勢へ。これはアントニコがノーザンライトホイップで返しますが、起き上がったサップが痛烈な頭掴みラリアット。


いよいよメインディッシュに取りかかるか、フラフラで立ち上がるアントニコを尻目にゴーストダンスでフィニッシュを宣言し、バックを取って必殺「大暴発 No.1(ゆきぐにドライバーβ)」を敢行、そのままフォールへ。これで勝負あったかに見えたのですが、アントニコが奇跡的にカウント2.99で間に合います。悔しい表情を露にしつつ、カウンターからのスクラップバスターを決め今度こそはと勝利へのアルゼンチンアピール。

最後の大技に出るかと思いきや、ここでアントニコが反撃のカナディアンロッキーバスター。これにサップはロープワークからのセイバーアタックですぐさま状態を整えてクレイジーポーズ。予選でも見せたワームのパフォーマンスで、再びリングに地響きを起こします。しかしこのアピールがアントニコのスタミナを回復させる結果となってしまっているのか、この後アントニコがスピアー、ナックルアローと決めて再び反撃。

これにサップもパンチでダウンさせ超肉弾プレスを見舞いますが、起き上がるアントニコが死角に回り込んでのバックドロップ。これには受け身が間に合わなかったか、脳天から直接投げ落とされたサップが半泣きの表情を浮かべながら頭を押さえ込み、立つことができず。アントニコがフォールに入るとそのままカウント3が決まり、逆転のピンフォール。なんとか野獣攻略に成功したアントニコが決勝に進出し、今大会の決勝戦は交流戦史上初の、パロX同士による闘いとなります。


○アントニコ 小川  対  ポップ・サップ×
(14分52秒、バックドロップ→片エビ固め)




−特別試合−
さゆみん VS モモミ・サクラ


「もう1度二人の試合が見たい」というオーナーの意向により執り行われたこの特別試合。開始時間が5分、6分と経過しても大技に頼らない慎重な攻防が続いていき、最初の大技は7分、さゆみんのハイジャンプフェイスバスター。腕へ的を絞って攻撃してきたサクラもこのあたりからその攻めが激化、アトミックドロップ、ヘッドロックパンチなどあらゆる技から執拗にステップオーバーアームブリーカーへと繋いでいきます。

オーソドックスなプロレスにこだわるさゆみんも、9分台にジャンピングパイルドライバーから最初のフォールへ。さらにサクラの腕殺しは続いていきますが、ペースに流されることなく10分台にはフィッシャーマンズスープレックス。着々とフォールに持っていかれる中意地でも腕殺しにこだわり続けるサクラ、この後スレッジハンマーから、そしてパイルドライバーから、さらにヘッドロックパンチからと3連続でステップオーバーアームブリーカーに持っていきます。

これによりさゆみんの腕はがっくりと垂れ下がった状態に陥りますが、自分の闘い方を維持し12分にジャンピングパイルドライバー、相手に一礼するとバックを取って高速ジャーマンスープレックス。ボロボロになりながらもその腕はきっちりと相手の腹部を握り締めて綺麗なブリッジを描いています。続けてブロックバスターを狙いますがこれはサクラがスモールパッケージに丸め込んで切り返し。するとここからサクラが最初の大技、リバースタイガードライバーを決めていきます。

チャンス到来と見たか、ダウンするさゆみんに対しCOOLダンスで観客に視線を浴びさせるサクラ。しかしこれを隙ありと読んださゆみんがテキサススープレックスから逆エビ固めへ。首投げからヘッドロックで再びグラウンドに持ち込むと、その後2度目のフィッシャーマンズスープレックス。カウント2でサクラが返すと今度はサクラがパイルドライバーから中指を立てるアピール。間接蹴りを挟んでバックを取りますが、これはさゆみんが取り返してのバックドロップ。

この後も目まぐるしく攻防は入れ替わり、サクラが2発目のリバースタイガードライバーから神への祈りを再び見せバック取りへ、これはさゆみんが切り返しスリーパーホールド。これを耐え凌いだサクラが裏拳をかまし中指を立て挑発すると、起き上がらせたさゆみんの背後からまさかの毒霧攻撃。しかしこれに動揺することなくさゆみんが小技を挟んでの2連続フォール。レフェリーの位置から遠かったためピンフォールはまぬがれたサクラ、ここから3発目のリバースタイガードライバーを成功させて裏拳。

サクラが呼吸を整える間、立ち上がったさゆみんも女子式ボディスラムからダイビングニードロップ。精神的に優位に立っているのはサクラ、バックからの間接蹴りでCOOLダンスを見せて、再びバックを取りフィニッシュを狙いますがこれはさゆみんがエルボーで阻止し、片腕を上げるアピールから一回転ドロップキック。そして胸張り手を一発当てておいてのフィッシャーマンズスープレックスでフィニッシュへ。しかしこれもレフェリーの位置が遠くカウント入らず。

この運を味方につけてここから猛攻撃に出るサクラ、ローリングバックドロップ、リバースフェイスバスターと繋ぎもう一度バックを取ると、サクラの得意技のひとつであるチキンウイングスープレックス。これが決定打となって、遂にサクラがさゆみんからピンフォール勝利。試合時間はほぼ20分という、数ある交流戦のロングマッチ史上においてもまれに見る壮絶なロングマッチを繰り広げた両者、特別試合とするのにはもったいないほど贅沢な特別試合となりました。


×さゆみん  対  モモミ・サクラ○
(19分59秒、チキンウイングスープレックス→体固め)




−決勝戦−
美式 お浄 VS アントニコ 小川


手数で上回っているお浄が顔面足袋ウォッシュ、唐竹割り、急降下バックドロップと繋いで序盤をリード。一歩出遅れたアントニコも闘魂ビンタやナックルアロー、ツームストンと着実に技を決めており調子は良好。その後ドロップキック、スピアーと繋ぐとパワーボムの体勢。これはまだ早かったか、ショルダースルーで場外に落とされます。

アントニコが場内に戻ると待ち構えていたようにお浄が次々技を繰り出していき、7分に急降下バックドロップ2連発からエビ固め。カウントは2.8、一気に勝負に行くお浄がここで必殺「しゅば〜ん」1発目を敢行。そこからのバック取りはブルドッキングで返されますが腿キックですぐにペースを取り戻してコーナーへ。準決勝でも見せたトップロープからのテキサスロングホーンで勝利を確信し、ダイビングヒップアタック。

勝負はあったかに見えましたがこれで終わらないのがアントニコの底力、すぐに起き上がってバックドロップで反撃、そこからパワーボムに捕らえ逆転へのフォール。充分に余力があるお浄が落ち着いて2カウントで返すと、これで終わりだと2発目のしゅば〜ん。フォールに入り決まったかに見えましたがアントニコが執念で両肩を上げます。

準決勝を教訓に、ここからもスタミナを気にせず攻め続けるお浄、コーナー逆さ吊りから張り手5連発。ここから立ち上がったアントニコがナックルを繰り出しますが串刺しDDTで反撃の余地を与えず、さらにジャーマンホイップで投げつけるとまさに駄目押しの一撃、3発目のしゅば〜ん。ここでフォールに行かず、お浄の勝利の鍵を握った技である急降下バックドロップを最後に決めておいてからフォールに行き、完璧な3カウント。

要注意人物とされておきながらオーナーからの優勝への期待はそれほど大きいものではなく、大穴的な存在だったお浄ですが、その予想を覆し武者逝魂そして老人力を信念に数々の激戦を勝ち抜き見事、中堅トップの座を獲得いたしました。試合後はセコンドの武者逝陣営に囲まれながら「ありがたや、ありがたや」と天を仰いで神の恩恵に感謝の意を表しました。


○美式 お浄  対  アントニコ 小川×
(11分13秒、片エビ固め)


美式 お浄が「U-95pt X−2グランプリ」優勝



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