第1試合「後藤&安倍組」対「市井&保田組」 後藤と市井の師弟関係はすでにご存知のとおり。新しくモーニング娘。に加入した後藤の教育係として、 その母性的な人柄で手腕を奮ったのが市井その人である。 試合開始時に特に敵意を持つような態度は見られず、選手同士が握手を交わして爽やかにスタートした。 だが市井の心の中には、後藤に対する何らかの想いを秘めているに違いないであろう。 延髄への踵落としからの繋ぎ技を中心に、後藤が優勢に試合を進めて市井が保田に交代する。 なおも後藤が攻め続けるが、保田が後藤をコーナーへもたれさせてから、エグイ顔面ウォッシュで攻めに出る。 後藤が安倍にタッチしたところで5分が経過。 この後に熾烈な戦いが待ち受けていたとは、誰にも想像できなかったであろう。 そこからは保田のペースに持っていく。ジャンピングニー、ネックブリーカー、サッカーボールキック、DDTといった シンプルながらも説得力のある技を着実に当てていく。 10分を過ぎたところで後藤がチャージしはじめる。 高速ブレーンバスター、DDT、ギロチンドロップと試合のペースを速める。 足掛け延髄斬り→鎌固めのお馴染みの連携から、タッチを求める保田を豪快に持ち上げデスバレーボム炸裂。 保田から交代した市井に対してもフライングニールキックを浴びせる。 コーナー串刺しのヒップアタックを決められるも、ペースを崩すことなく再びフライングニールキック、 そしてランニングでの切れ味鋭いドロップキック。そこからグラウンドコブラツイストでフォールを狙う。 かと思いきや、余力の残っている市井が一発逆転の破壊力を秘めているスーパーボムを敢行する。 フォールをギリギリで返した後藤がお返しとばかりにクロスアームサンダーファイヤーを出そうとするが、 これはショルダースルーで返される。こんな緊迫とした状況でも、市井は余裕の筋肉アピール。 そこからバックを取っての前方回転エビ固めでフォール。 タッチを受けた安倍がジャンピングDDTで試合の流れを変えに行く。 そして普段なかなか見せることのない、ウルトラタイガーアタックを決める。 スモールパッケージホールドで丸め込んだ後に、一瞬のスキを見計らった市井が飛びつき逆十字。 このあたりの攻防が負けん気の強い市井の持ち味である。 再び流れを変え、市井が元祖フランケンシュタイナー→ダイビングエルボーへ。 大技Hエッジ→ヒップドロップでカウント2.9。勝利がすぐそこまで見えている。だがここで負けるもんかと、 安倍が串刺しにされながらもジャンピングDDT。市井からマンハッタンドロップ→マッドスプラッシュを喰らうが、 再びジャンピングDDTで巻き返し、後藤にタッチが間に合う。 筋肉アピールからのダイビングエルボーを寸前でかわし、ジャパニーズレッグロールクラッチで 一瞬にして丸め込む。その後場外へ投げ捨て、チャンスと見た後藤がランニングでスワンダイブプランチャー。 場内へ戻した後も、デスバレーボム、フライングネックブリ―カーで完全にペースを掴む。かに見えたのだが、 保田に権利が移ってからは、前文にも記したとおり、熾烈な大技合戦が繰り広げられたのである。 リングインして間も無く、保田が必殺のぺディグリーを決める。そしてうつ伏せの後藤に頭部への ダブルニープレス2連発。そこからタイガードライバーであわやピンフォール負けしてしまいそうになる後藤。 しかしこの状況においても電光石火のデスバレーボムで負けさせない展開に引きずり下ろす。 だが今回いつもとは違う異様な輝きを放っていたのが保田である。 ペースを崩すことなくYSD→スワンダイブニールキックで堅実に試合を押し進める。 後藤のクロスアームサンダーファイヤーを喰らった直後にぺディグリー。 タッチを受けた安倍にタイガードライバーを難なく決めてフォールする。 この闘争本能はどこからやって来ているのだろうか。 先程の後藤との状態と同じように、安倍がハリケーンドライバーを決めていったが、雪崩式に行く安倍を コーナーに登っている状態でのスイングDDTで切り返す。 すぐに市井へ交代しなくては、一発の大技でピンフォールを決められてしまう可能性さえ有りうる 危うい状況にありながらも、保田は不屈の力で自分の得意技で応戦する。 試合時間が25分を超える珍しい長期戦にもつれ込む。今大会初めての引き分けになるかとも思われたが、 試合を決めたのは保田だった。 フィッシュストレッチスリーパーで安倍を絞め上げた後、この試合2度目のヤスダースクリュードライバー、 そしてサムライボムを決めて3カウントを奪った。 今回この凄まじい戦いを最後まで演じた張本人は保田圭、彼女に違いないであろう。 (25分53秒、サムライボム) 第2試合「飯田&石黒組」対「中澤&福田」 ベテランチーム同士の対決となるこの試合。激しい大技で凌ぎ合う若手チームの戦いとは対照的に、 開始10分が過ぎるまではストンピング、スリーパーホールド、ボディスラムといった非常に古典的な 技の出し合いで静かな攻防が続いた。 先程の激しさを増した試合と比べると地味ではあるが、これもまたプロレスの試合運びの一つと言えるだろう。 石黒が中澤にコブラツイストを3連発決める。古典的なプロレス技で勝負する石黒の意志が見て取れる。 その後中澤2回目のダイビングエルボー誤爆を受けた後に、石黒がワンハンドチョークスラムを決めて、 この試合初めての歓声が湧き起こる。そして高野落とし→逆エビ固めで決着を付けようというムードに変えていく。 その石黒の勢いに乗った飯田が、福田を場外での元祖バックドロップで投げつける。 場内へ入った後にも再び元祖バックドロップ。これで圧倒的に飯田・石黒組が有利になる。 デスバレーボムも決まり、これほどに厳しい状態を迎えているにもかかわらず福田が、中澤への交代も求めずに 串刺しショルダー、ノータッチヘッドバットで必死に立ち向かっていく。 そしてノーザンライトボムを決めて、なおも攻めに行く。 当然体力の残っている飯田は、デスバレーボム→延髄斬りでフィニッシュに持ち込む。だが福田が ストレッチバスターからドラゴンスリーパーでねじ上げる。いったいどこからこの力が湧いているのか。 これは保田の時と同じ様に感じられる。 そして頭突き連打から再度ドラゴンスリーパー。福田が交代する前に飯田が石黒へタッチする。 その石黒に対しても屈することなく頭突き、ノーザンライト、ドラゴンスリーパーで勝ちに行く。そして パワーボムを決めてカバーに。寸前で石黒がカバーを返したものの、そこからさらに福田が餅つき式で 3連続のパワーボムを見舞う。ここまで来れば、福田の勢いは止められない。 コーナー串刺しの取り合いから福田が最後の力を振り絞ってのパワーボムで3カウントのゴングが鳴る。 あ然とした表情で辺りを見回す飯田・石黒。 3回戦を終えたところで優勝候補の一角である飯田・石黒組が、まさかの全敗である。 (20分45秒、パワーボム) 第3試合「石川&吉澤組」対「平家&アヤカ組」 平家・アヤカ組が金星獲りに挑んだこの一戦。 しかしあまりいい動きを見せられないまま、8分17秒で早くも吉澤の高角度パワーボムを決められてしまい、 STO、逆回し蹴り2連発で完全にペースを吉澤に握られた平家。 オレンジクラッシュをギリギリで返すことができたものの、タッチ後のアヤカへも ハイスパートでぶつかっていく吉澤。 一旦はダイナマイトニーリフトでチャンスを掴みに行ったが、石川へ交代後、串刺しDDT→腕ひしぎ逆十字、 エクスプロイダーでピンチに陥る。 その後のドラゴンスープレックスを返すことができず、石川・吉澤組が快勝。その勢いが止まらぬまま、 全勝で3回戦目までを終えている。 (13分47秒、ドラゴンスープレックス) 第4試合「矢口&ミカ組」対「りんね&柴田組」 前回での平家・アヤカ戦敗退により、改めて気合いを入れ直したりんね・柴田組。 その気合いが表れている様に、エース・矢口に向けて思いっきり自分の持てる力をぶつけていくりんね。 序盤は矢口のセントーン、ショルダーネックブリ―カーが数発決まり、ペースを不利に持って行かれたが、 りんね交代後の柴田がキレのある動きとテクニックで相手を翻弄し、ペースはりんね・柴田組に移って行く。 この試合、ロープワークの上手さが目立っている柴田。ニールキック、人工衛星ヘッドシザースで イキの良さを見せる。そして気合いと同時に力強さも見せつける。 ジャンピングブレーンバスターを矢口にかまし、投げつけられるのを踏み止まってDDTで切り返す。 ビッグバディボムをいきなり喰らい、ピンチが訪れようとするが、そこはジャンピングアームブリ―カーを キッチリと決めてからりんねへタッチ。 今回、平家・アヤカ組は金星を奪うことが出来ず惨敗してしまったが、この試合はその借りを返すと 言わんばかりに、期待が高まる。 りんねもこの試合で、持ち前の丸め込みテクニックを最大限に発揮。 矢口へキドクラッチ2連発、高角度前方回転エビ固め、マヤ式ジャーマンスープレックス、そしてミカへ 後方回転エビ固め。ありとあらゆる丸め込みのテクニックを見せつけて、遂に矢口・ミカ組を追い込む体勢へ。 しかしなかなかミカにカウントが入らず、逆にリバースDDT、場外へはココナッツ・バスターを決められてしまい、 ペースを崩される。パンチのラッシュが決まってりんねが追い込まれるが、交代を受けた柴田が大奮闘。 リバースフランケンシュタイナー→ラ・マヒストラルでカウント2.9。パンチを食らってフォールされるものの、 そこからストレッチボム、メキシカンエースクラッシャーで攻め立てる。 フィニッシュ技のスパイラルボムを一度返されはしたものの、その後卍固めから繰り出したのが決まり、 カウント3を奪い取った。りんね・柴田組が矢口・ミカ組から見事な大勝利を収めた。 ミカ「Sorry、私が力を出し切らなかったから負けてしまったわ。矢口ちゃんごめんなさい。」 矢口「ミカちゃんドンマイドンマイ。次からまた元気を出して、良い試合を見せつけようよ。」 ミカ「That’s good!頼もしいわ。次からもっと頑張るわ。それでは皆さん、see you!」 (18分11秒、スパイラルボム) 第5試合「加護&辻組」対「今井&島袋組」 毎回その愛くるしいキャラクターで会場を沸かせている加護・辻組。 今回はそれとは対照的に、シビアな戦いを見せている今井・島袋組との対決ということで、 どのような勝負が繰り広げられるのか、楽しみな一戦である。 膝突き蹴りなどの打撃技を中心に試合のペースを掴みに行く今井。 辻はそれに対し、柔軟な動きで相手にペースを与えずサイクロンホイップ、首投げなどを器用に使い、 先にタッチを求めたのは今井組。これまでは相手より先にタッチするといった事が無いほど、自分のペースを 押し進める戦いをしていた今井。今回はそれほど圧倒的な勝利を収めることは難しい相手なのかもしれない。 今回最も良い動きを見せているのが加護である。自分より体の大きい相手にも、リバースDDT、 剃刀ブレーンバスター、掌打アッパーなど豪快な技を立て続けに繰り出し、その中にも鶴の舞などのコミカルな 動作も取り入れて、自らの世界を演出する。 辻も鮮やかな腕殺しコンビネーションを積極的に使い、いつもの今井のペースに行かせない。 10分20秒を過ぎたところで、ようやく今井が本来の強さを発揮する。マウントでのナックル、ソバットで 打撃戦に持ち込むと、剃刀ブレーンバスターで投げつけて、三角絞めでグラウンドに入るという、 打・投・極を一連の動作で行っている。そしてハイキックのコンビネーションが決まり、 トップロープへ登ってのダイビング・エリコ・クラッチでフォールへ。 加護との対戦に移ると、お互いの攻防が激化する。その一連の駆け引きをここに表してみた。 (加護)マウントジャックナイフ固め、(今井)カウンタートラースキック、(加護)テキサスジャブ、 (今井)マウント返し三角絞め、(加護)掌打アッパー→鶴の舞アピール→デルフィンクラッチ、 (今井)足掛け延髄斬り→ランニングフライングニールキック→パワースラム、 (加護)ブリティッシュフォール→デルフィンクラッチ、(今井)島袋へタッチ、(島袋)胴絞めスリーパー、 (加護)メキシカンストレッチ、パワーボム返しフランケンシュタイナー、(島袋)サスケ式サンダ―ファイヤー パワーボム。 ここからは島袋が巧みなグラウンドテクニックを駆使し、加護の体力を奪いに行く。 場外戦に持ち込むが、加護が場外でマウントモンゴリアンチョップを決め、辻にタッチ。ここからまた 激しいフォールの奪い合いが始まる。 (辻)コーナーへ串刺し、(島袋)裏投げ→ビクトル式腕十字固め、辻の蹴りを切り返してドラゴンスクリュー、 前方回転エビ固めを返してのエビ固め、(辻)島袋の技を切り返しての逆さ押さえ込み、 (島袋)胴絞めスリーパー、(辻)コーナーへ串刺し、(島袋)再び裏投げ→バックを取る、(辻)カンガルーキック、 そして必殺技・チャッキリドライバーでカウント3が入り辻の勝利。高度なレスリングテクニックがぶつかり合った、 凄まじいフォールの取り合い合戦を繰り広げた両チーム。 奇跡的な猛チャージを見せた保田と福田、そしてこの試合によって、ますますこれからのリーグ戦も 期待が高まるばかりである。 (21分45秒、チャッキリドライバー) |